話は連休前に戻る

イルカウォッチングの、ガイドを引き受けたはいいが
予備知識はゼロと言っていい

原鈑の目に、狼狽の色を見て取った総元締めのスターは
数枚のレポート用紙がファイルされたものを、すっと取り出すと

自信のなさを言葉に出そうとする、原鈑の口元に
制止するように差し出した

「これ、当日までに目を通しておいて」そう言い残すと
まっ黒の革のライダーズスーツに、身を包んだスターは

長い髪を潮風に遊ばせ、夕陽の中に峰不二子をほうふつさせる
シルエットを残し、バイクの爆音と共に去って行った

ファイルには、現場の地理的なことから通詞島や湯島の
歴史的な背景、思わず「へぇ~」と口に出てしまう
イルカの予備知識が、わかりやすく記述されていた

よし、これはイケる!今まで学校のテストは
すべて一夜漬けで乗り切ってきたんだ
ガイド本番まで、間に合わせてやる!

一通り目を通し、二回目を読んでいる途中で
睡魔に勝てなくなり、深い眠りに落ちて行ったのは
初ガイドの前日の夜の事だった




ガイド初日、いきなり一人立ちは無理がある
まずは先輩ガイドに同行して、ノウハウや注意点を学ぶのだ

ブロガー「天てん」として、かたらんなに君臨していた彼は
その身を隠し、ここイルカマリンワールドで「TENTEN」と
名を変え、潜伏していたのである

TENTEN
「いいか、ここでオレの事を『天てん』さんとは呼ぶな
オヤジリーダーと呼べ」

原鈑
「オヤジリーダー!?・・・ですか?」

TENTEN
「そうだ、わが社にはバイトの頭バイトリーダーがいるんだから
オレは、オヤジリーダーでいいだろ」

原鈑
「わかりました、オヤジリーダー・・・」

いきなり妙な造語に戸惑う原版に、オヤジリーダーは
追い打ちをかける

TENTEN
「いいか、この海に泳いでいるのは野生のイルカだ
彼らは毎日生死をかけて戦っている」

「オレたちにとっても、生活をかけて船を出す
ここは戦場なんだ!連休の浮かれ気分で
船に乗るつもりなら、今すぐ帰れ!!」

いつもの知っている、天てんさんとは
全く違う姿と言葉に、返事もできない原鈑

(言えない・・・船の上だけに、『せんじょう(戦場)』なんですね♪
なんて・・・)

まるでゴルゴ13のように、腹の底まで見透かされた
オヤジリーダーの視線に射抜かれ、瞬きすることも忘れるほど
硬直する原鈑であった





画像拝借


※なお登場する人物は、架空ではありませんが
性格や特徴は現実とは違うかも・・・しれません





















  


Posted by 原田鈑金塗装  at 19:09Comments(11)天草観光ブロガーさん