2016年02月06日

急逝!韮沢靖氏



韮沢靖氏逝去!

スマホのニュース速報で、浮かび上がった文字に
目を疑った、あまりに突然な同級生の訃報
韮沢靖、おそらく身の回りではその名を知っている方は
いないであろう

リアルデビルマンなどの原型師、仮面ライダー等のキャラクター
デザイナー、高校の時の同級生だった

自分の身の周りで、ウイキペディアの検索に引っかかるのは
彼ぐらいだろう、10代後半の当時から、絵のうまさは抜群だった
人の教科書の挿絵に、落書きするいたずらをよくしていた
それを見て、爆笑したり、がく然とするクラスメートを見て
悦に入っていた

しかし、韮沢靖の教科書にだけは、手を出せなかった
圧倒的な画力で、自分が凌駕されるのが
火を見るより明らかだったからだ

当時の商業科は、ソロバンの授業があった
左利きの彼と自分は、最前列の真ん中に並んで
座らされた

お調子者で、左右にこだわらない自分は
ソロバンを右手ではじき、左手で答えを書くという手法で
全学年中ただ一人、一年で2級まで進んだ

隣席の彼は、左手でいやそうにソロバンの玉を
パチパチとはじいていた姿が、すごく窮屈そうに見えた

当時から彼は、モノを斜めから冷めた視線で見ていた
クラスの輪の中で、はしゃぐこともなく
絵の話だけは、とつとつと語るそんな男だった

東京に上京し、彼のアパートに何べんか遊びに行った
男の部屋とかいう本の記者が、取材に来るほど
ぶっ飛んだ部屋だった

カメラのフィルムケースに、水を満たし
怪物のフィギアの頭だけを入れて、陳列してあったり
トイレの白い壁一面に、エアーブラシで落書きしてあったり・・・

何回目かの訪問の時、テンションが低い彼が
よりいっそう落ち込んで見えた
「来られても迷惑・・・」彼がポツリと言った言葉が
信じられなくて、もう一度聞き直した
「こんな風に来てもらっても、迷惑なんだよ」
こちらに顔を一切向けず、畳に視線を落としたまま
彼は誰に告げるでもなく、つぶやいた
あの弱弱しい、今考えればさみしげだった
あの横顔が、彼に会った最後だった

それから、彼のアパートに行くこともなく
彼との交流は一切なくなった

彼の活躍を知ったのは、天草に来てからだった
自分の事のように嬉しかった
多くの才能あるものが、陽の目を見ないで終わる中
その才能を、開花させていたのだ
あまりの嬉しさに、俺より先に有名になりやがって!っと
メールを打った、しかし返事は返ってこなかった・・・

お前に肩を並べるようになって、会いに行ってやるよ
そう決意をしてから、何年過ぎただろう

会って、いろんな話がしたかった
何年たっても、どんなに有名になろうとも
あいつは、あいつのままのはずだから

あの時は、落ち込んでいて
思わず来るなって言っちゃったんだよ
笑いながら、そういう会話ができる日が
来ると信じていた

だけどもう、かなわない・・・
韮沢靖、ニラ
やすらかに眠れ!合掌・・・  


Posted by 原田鈑金塗装  at 10:20Comments(6)天草以前のお話雑記