夏の余韻を色濃く残す、10月の陽光あふれる午後に
その男はやって来た

「こいつを組み上げてくれ」

男は笑うでもなく、威嚇するでもなく
こちらの心理を探るかのように、原鈑の目を
じっと凝視する

その迫力に、圧倒される原鈑

「わかりました」

やっとの思いで、言葉を振り絞ると
男が持ってきたものを、確認する

折り曲げられた、鉄パイプが大小で数本・・・
「これはなんですか?」そう問いかけた原鈑を
制止するかのように、言葉が終わらないうちに
男は答えた

「それは聞かない方が、身のためだぜ」


指示通りに、等間隔に溶接していく


半端な仕事をしては、身の危険さえ感じる・・・



ほぼ完成だ


「だいたい組み上がりました」

男に報告すると、画像をメールで送るように
指示が来る



いったい、これはなんだ?
あいつは、誰なんだ?
この仕事を引き受けて、俺たちは無事でいられるのか?



どんどん形が見えてくる、依頼品を見ながら
原鈑の胸には、どんどん見えない不安が
漫然と形成されるのであった・・・






  


Posted by 原田鈑金塗装  at 15:55Comments(10)修理