ホテル「アレグリア」にワーゲンバスを横付けして
男はおもむろに、車の荷室の扉を開き
エスプレッソマシーンを抱えつつ、鋭い視線で
戸惑う原鈑の、胸の中を見透かすように
口を開いた

「手伝うのか、手伝わないのか、どっちなんだい?」
「あっ!はっはい!」YESともNOとも言い切れぬまま
荷物を運ぶことに・・・



「楽園珈琲」の、看板を持ち上げたその時
再び男は言った

「その看板を持つ意味を、理解しているかい?」
不意の質問に、返答に詰まる原鈑に
男は続ける

「俺たちはこれから、日本一のバーテンもいる
同じステージに上がるんだ、コーヒー屋
ごっこの気分なら、その看板を今すぐ
そこに置いて、帰るんだな」

本当は、看板を放り出して逃げたいのに
男の迫力に圧倒されて、その場に硬直していると
その男は、ニヤリと笑って

「ほう・・・覚悟はあるのか・・・」
そう言うと、スタスタと先に会場ホールへ
荷物を運び出した

仕方がなく、看板を手に男の後を追う原鈑

原鈑の意思とは裏腹に、禁断のエリアに
足を踏み入れてしまうのであった・・・


・・・・・・・・・・・・・つづく


  


Posted by 原田鈑金塗装  at 09:59Comments(9)イベント楽園珈琲