2013年09月04日
スローな夜にしてくれ!天草Cocktail Night後編

ホテル「アレグリア」にワーゲンバスを横付けして
男はおもむろに、車の荷室の扉を開き
エスプレッソマシーンを抱えつつ、鋭い視線で
戸惑う原鈑の、胸の中を見透かすように
口を開いた
「手伝うのか、手伝わないのか、どっちなんだい?」
「あっ!はっはい!」YESともNOとも言い切れぬまま
荷物を運ぶことに・・・

「楽園珈琲」の、看板を持ち上げたその時
再び男は言った
「その看板を持つ意味を、理解しているかい?」
不意の質問に、返答に詰まる原鈑に
男は続ける
「俺たちはこれから、日本一のバーテンもいる
同じステージに上がるんだ、コーヒー屋
ごっこの気分なら、その看板を今すぐ
そこに置いて、帰るんだな」
本当は、看板を放り出して逃げたいのに
男の迫力に圧倒されて、その場に硬直していると
その男は、ニヤリと笑って
「ほう・・・覚悟はあるのか・・・」
そう言うと、スタスタと先に会場ホールへ
荷物を運び出した
仕方がなく、看板を手に男の後を追う原鈑
原鈑の意思とは裏腹に、禁断のエリアに
足を踏み入れてしまうのであった・・・
・・・・・・・・・・・・・つづく